加齢とは

2023/10/28

高円寺駅ホームに降り立った。
何年振りだ？
いや何十年振りだろう。

ホームから改札に向かう階段を降りようとした時に、
こんなに急な勾配だったかと思った。
降りながら顔をあげると反対側の降り口はエスカレーターだと気付き、
（ああ、あっちから出ればよかった…）
（いや、これも運動だ）
先日医者から散歩をしなさいと言われたことを
思いながら降りていると、
残り三段ののところで踏み外し転げ落ちた。

思いっきり転んだ。
時間は帰宅時間の18時で、突然の出来事に悲鳴が起こった。
右膝をしたたか打ち、足首をひねって立ち上がれなかった。

「あたっく」の稽古中に左足を捻り千秋楽までテーピングで過ごし、
その後病院での検査で「靭帯損傷」と診断され、
最近「散歩をして運動を」と言われた矢先のこの日の転倒。

高円寺駅で痛感した。
完全なる加齢だ…。
ひとりの男性が駆け寄ってきて声をかけてくれた。
心から心配してる言葉だったが、
恥ずかしさが先に立ち、大丈夫ですと答えたが、
実は泣きそうなくらいに嬉しかった。
できることならその方の肩に捕まって改札を向け、
病院か薬局に連れて行ってもらいたかった。

夜。
町田慎吾くんと合流して「伊賀」の打合せをやってる時、
隣のテーブルの人が僕を見て「駅で転んだ人ですよね」と
声をかけてきた。
あの時、優しい言葉をかけてくれた人だと思い、
お礼を言うと「あ、僕じゃありません」と言って、
すごかったんだよ、この人の落ち方ー。
楽しそうに町田くんや同席の人たちに話をした。

少し前の僕ならば、
人の不幸を笑って話すなと苛立っていたが、
この日は「そーなんだよ、すごいこ転び方をしてさー」と
笑っていた。
これも加齢によって丸くなった、とうことか。