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203歩

昨日書いた文章がアップされていないようなので再送します。
 

左手は廊下に沿った握りバーを握り、
右手を息子の左手に添えながら「一、二、三」と数えながらゆっくり歩く。
五十歩歩いたところでUターンをして引き返す。
往復で丁度百歩。そんな歩行訓練をしています。


この日は調子がいいのか、いつもなら百歩で車椅子に座るのだが、
「もう一回がんばる」と言い出して、そのまま「百一、百二、百三」と初めての連続歩行の挑戦となった。
問題はUターンのときだ。
バーを握る手を左手から右手に持ち替えるときについつい腰が引けてお尻が落ちそうになる。
「ここを耐えるのは腰と太ももの筋肉だから。がんばるよ、がんばるよ」。星一徹ばりの息子の口癖だ。
Uターン。
一瞬グラリとなったが持ちこたえ「百五十一、百五十二、百五十三」と歩き出す。
目標の連続二百歩が見えてきた。
時々立ち止まっては「がんばる」と自分に言い聞かせる、そして歩き出す。


二百歩終了で車椅子にやっと座れる。
目的の車椅子に片手を伸ばし、命綱をたぐり寄せるようにガシッと掴み、
小さな歩幅でチョチョと座面に腰を下ろすとき母親は早口で「二百一、二百二、二百三」と歩数としてカウントした。
それはズルだろ、と言うと「歩いた歩いた」と笑いながら満足顔。


「伊賀の花嫁」を観たいと言う。
そのために頑張っている。
人間は目標があるから頑張れることを教わっております。